理想的なアパートの空室率とは？空室率を下げるための対策について解説  

アパートを経営していると気になるのが、空室率だと思います。アパートの空室率はどれくらいの水準を保てばよいのか、空室率を下げるためにはどうすればよいのかなどを知りたい人も多いでしょう。   この記事では、アパートの理想的な空室率、空室率が上がってしまう原因、空室率を下げるための対策について解説します。アパート経営者の方がこの記事を読めば、空室率対策についての知識を得られるでしょう。  

アパート経営の理想的な空室率の目安は20％

アパート経営の理想的な空室率は20％と言われています。   「平成30年住宅・土地統計調査の集計結果（住宅及び世帯に関する基本集計）の概要」によると、賃貸住宅の空き家の割合は18.5％です。そこから、20％前後の空室率が目安とされています。  

地域によって空室率の目安は違う

空室率の目安は、地域によっても異なります。   主な都道府県の賃貸住宅の空室率を比較すると、以下のようになります。  

・東京都：17.1％ ・愛知県：18.3％ ・大阪府：25.4％ ・北海道：21.6％ ・鳥取県：22.8％ ・鹿児島県：23.0％  

全体的に都市部ほど空室率が低い傾向があるものの、一方で大阪府は都市部ですが空室率が高いです。このように、地域によって空室率が異なることがわかります。   ※出典：平成30年住宅・土地統計調査を基に(公社)全国賃貸住宅経営者協会連合会による、都道府県別「民間賃貸住宅(共同住宅)戸数及び空き戸数並びに空き室率の推計」  

空室率は建物の造りや種類によっても異なる

空室率は、マンションタイプかアパートか、軽量鉄骨造りか木造かなどによっても異なります。   マンションタイプよりもアパートの方が、空室率が高い傾向があります。これは、木造造りのアパートよりもマンションタイプの方が、人気が高いためと考えられます。  

空室率が上がる原因とは？

空室率が上がってしまうのには、原因があります。ここでは、空室率が上がる原因について考えてみましょう。

人口減少

近年は人口減少により、アパートに入居する人が少なくなっています。   地域によっては過疎化が進んでしまい、アパートに入居する人自体が減少しています。少子高齢化が進み、アパートやマンションの空室率が上がっている地域は多いです。都市部はそうでもありませんが、地方に行くほどこの傾向は強くなっています。  

アパートやマンションの増加

アパートやマンションの建設が進み、供給過多になっていることも原因として考えらえます。   国土交通省のデータによると、新規の借家系の住宅着工戸数はほぼ横ばいで推移しています。人口減少が進んでいるにも関わらず、マンションやアパートは毎年変わらずに建設されているということです。   そのため、供給過多が進み空室率が上がっていると考えられます。   ※出典：国土交通省 – 令和3年度　住宅経済関連データ（1）新設住宅着工戸数の推移（総戸数、持家系・借家系別）  

景気の悪化

世界的にも、日本国内で見ても、景気にもよります。コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻などの世界情勢の悪化、異常気象などにより、原油価格や小麦などの価格は上がっています。   その結果、収入の減少、失業者の増加などが起こり経済的に疲弊してしまったことが、賃貸住宅の空室率が上がる原因のひとつとして考えられます。  

アパートの空室率対策とは？

アパートの空室率を上げるためには、どのような対策を行えばよいのでしょうか？現状の問題点を把握し、その問題に合った対策を講じる必要があります。  

営業活動を見直す

なかなか入居者が集まらない場合は、営業活動が合っていないのかもしれません。営業活動のターゲットは正しいのか、ターゲットに合った広告戦略を打てているのかなどを検証しましょう。   たとえば、学生が多い地域にファミリー向けの物件の広告を出しても、ターゲットが違うため効果を得にくいです。ファミリー層向けの情報誌に広告を載せる、学校やショッピングセンター、医療機関が近いことを売りにするなど、広告戦略を見直す必要があります。  

家賃、敷金、礼金を下げる

家賃が高すぎるため入居者が集まらないのかもしれません。   建物が築浅できれいな状態の場合は現状の家賃でも良かったかもしれませんが、築年数が進み設備などが古くなると家賃を下げる必要があります。また、敷金、礼金を減らすことで、入居者が増える可能性もあるでしょう。   ただ、急に大幅に家賃を下げると、アパート経営がうまくいかなくなる可能性もあります。いきなり家賃を下げるのではなく、入居者候補との交渉のなかで家賃を下げることを提示してみるなどの工夫が必要です。   アパート経営の収支状況を注視しつつ、アパート経営に詳しい不動産会社などに相談してみるのも良いでしょう。  

リフォームして設備を最新のものにする

アパートの設備を最新のものに変える、壁紙をきれいに張り替えるなどリフォームすると入居者が増える可能性があります。   入居者は同じ家賃なら設備が新しいきれいな部屋に住みたいはずです。競合物件よりも新しくきれいにリフォームすれば、入居者が増える可能性がぐっと高まるでしょう。   ただ、リフォームには高額な費用がかかるためローンを組む必要があるかもしれません。その場合には、アパート経営の収支と相談して無理のないローン返済計画を立てましょう。  

住み心地が良くなる工夫をする

入居者がせっかく入っても、住み心地が良くなかったらすぐに退去してしまうかもしれません。入居者が退去しないように、住み心地を良くする工夫も必要です。   とはいえ、アパートのオーナーが直接住人のトラブル対応などを行っても、うまく対応できるとは限りません。そこで、管理会社などに仲介を依頼することで、高いサービスレベルを維持できるでしょう。